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リブランディング(re branding)とは|実施するときの流れ
2023年03月24日
リブランディング(re branding)とは、既存のブランドを時代や顧客の価値観などに合わせて再構築することです。企業や企業が提供する商品・サービスは、一度つくれば終わるものではありません。常に変化する時代や顧客のニーズに応じて提供サービスを改善することで、長く愛されるブランドとなります。
では、どのようにリブランディングを実施すればよいのでしょうか。当記事では、リブランディングの概要とブランディングとの違いを解説した上で、リブランディングの実施が必要なタイミング、進め方、戦略的なリブランディングを行うポイントを紹介します。
1. リブランディング(re branding)とは
リブランディング(re branding)とは、商品や企業がこれまで培ってきたブランド資産を活用しつつ、新しい時代にも受け入れられるブランドへ再構築することです。
具体的には、企業のロゴデザイン刷新、商品ラインナップやサービスなどの変更をします。これまでのブランドイメージを大切にしながら時代変化やその時のトレンドに合わせたアピールをして、顧客認知度や関心を高めます。
1-1. ブランディングとリブランディングの違い
ブランディングとリブランディングは、ともに商品、サービス、企業などのブランドイメージを構築するための手段ですが、目的やタイミングに違いがあります。
ブランディングは、新しい商品やサービス、企業などを設立する際に新しいブランド開発をすることです。一方、リブランディングは、既存ブランドのイメージを尊重しつつ、時代に合ったつくり変えやアピールをすることです。すでに一定のブランディングができているタイミングで行います。
1-2. リブランディングの効果
リブランディングといったブランドの再構築には以下の効果があります。
- ブランドの魅力をより効果的に伝えられる
リブランディングは、ブランドの魅力をより明確に伝えられます。これまでの魅力を大切にした上でのブランド再構築は、顧客に対してより強い印象を与えられます。
- 企業の資産を残しつつ新しい形でユーザーに商品・サービスを提供できる
リブランディングは、企業の資産や経験を生かし行われます。そのため、これまで築き上げてきたものは無駄にはなりません。停滞している場合でも切り捨てず、時代に合ったアプローチで長く顧客に支持されていきます。
- 新たなユーザーにアプローチできる
リブランディングは、新たなユーザーにアプローチする機会も得られます。新しいブランドアイデンティティは、これまでの顧客だけでなくより幅を広げてアピールできます。新たな市場の開拓、ブランド認知度や売上の向上にもつながるでしょう。
2. リブランディングの実施が必要なタイミング
リブランディング実施の検討が必要なのは、下記のタイミングです。
- 商品・サービスの広告表現に古さを感じる
- 他ブランドとコンセプトやユーザーが被った
- 経営者が変わった
- そもそも現在のブランドがユーザーに合っていない
時代に合わせたタイミングでのリブランディングは、顧客離れの防止や新規市場の開拓などさまざまな効果が見込めます。実施が必要なタイミングについて、詳しく解説します。
2-1. 商品・サービスの広告表現に古さを感じる
商品やサービスの広告表現が古く感じられる場合、リブランディングが必要です。
時代やトレンドの移り変わりで、顧客の趣味や嗜好は変化し続けています。リブランディングで新たな広告やコンセプトをアピールすると、競合他社との差別化にもなり、時代遅れによる顧客離れが防げます。
リブランディングは時代の流れで変化し続けている市場において興味を引く効果もあるため、新規顧客の獲得にもつながるでしょう。
2-2. 他ブランドとコンセプトやユーザーが被った
他ブランドとコンセプトやユーザーが被った場合、リブランディングの検討が必要です。
他のブランドとコンセプトやユーザーが似ていると、自社ブランドが顧客から認知されにくくなり、差別化が難しくなります。似たブランドの乱立によりコモディティ化が起き、自社ブランドが選ばれなくなる可能性もあります。
他ブランドとの被りがあると独自の強みを提示しにくく、新しいユーザー層へのアピールも難しくなります。リブランディングによって自社ブランドならではの要素をアピールでき、新たな顧客獲得にもつながるでしょう。
2-3. 経営者が変わった
新たな経営者が企業の方向性を変えたい場合、リブランディングが功を奏す場合があります。リブランディングの実施で、新しい経営者のビジョンを反映した戦略策定ができると、明確な広告やコンセプトのアピールが可能になります。
経営者が変わってからも同じ企業方針を貫き通すのも悪くありませんが、時代に遅れた経営になる可能性があります。経営者変更のタイミングは、顧客を含むステークホルダーに新たな方針をアピールしやすい時期です。リブランディングで時代の流れを柔軟に受け入れる企業という印象を与えられるでしょう。
2-4. 時代や市場の変化により顧客の価値観が変わった
時代の変化で顧客の価値観が変わると、企業は顧客の変化に対応する必要があります。はじめは受け入れられていた商品やサービスも、顧客が年齢を重ねたり価値観が変化したりすると魅力的に見えなくなってしまいます。競合の成長、新たな技術の登場などで価値が下がるケースもあるでしょう。
時代変化に合わせ、顧客の価値観を反映したブランドを構築することは、企業の競争力を向上させるために重要な役割を果たします。
2-5. そもそも現在のブランドがユーザーに合っていない
顧客のイメージと現在のブランドが一致していない場合も、リブランディングが有効です。ブランドイメージと実際のブランドに差があると、顧客離れにもつながります。企業側が理想としているコンセプトと顧客のイメージに差があれば、市場でのイメージを変えるリブランディングが必要です。
3. リブランディングの進め方
ブランドの再生のために行うリブランディングは、大きく3つのステップに分かれます。
(1)ブランドに対する評価や立場の調査・分析
(2)ブランドの方向性や指針の戦略策定
(3)各方面に新しいブランドの浸透
それぞれの段階で重要なポイントを押さえることで、適切なブランディングが行えます。以下では各段階で行うべきことを、ポイントとあわせて紹介します。
3-1. ブランドに対する評価や立場の調査・分析
まずは、既存のブランドに対する評価や立場の調査・分析をします。具体的には、消費者調査や競合分析、市場トレンドなどをチェックします。ブランドの評価や立場を分析する中で下記のような問題点が見つかれば、リブランディングが必要と判断されます。
調査や分析をしても問題点が見つからない場合は、リブランディングをしないほうがよい場合もあります。状況次第ではリブランディングの実施によりイメージの乖離が生まれ、顧客離れにつながりかねません。調査・分析を慎重に行い、リブランディングが必要かを見極めましょう。
3-2. ブランドの方向性や指針の戦略策定
リブランディングの実施が決まったら、方向性や指針の戦略策定をしましょう。調査や分析で得られた情報を整理し、理想としている企業の未来までの道筋を考えます。調査・分析の結果と理想を照らし合わせ、現状と顧客イメージとのギャップ、理想の未来を実現するために何が必要かの深堀も大切です。
理想としているブランド像を実現するための具体的な方法は、下記の6つが挙げられます。
リブランディングを終えるまでの計画や費用も含めた戦略を策定しましょう。
3-3. 各方面に新しいブランドの浸透
最後に各方面に新しいブランドを浸透させます。社内から社外へと順に告知しましょう。
新しいブランドを社内に周知する際、従業員を対象にブランドコンセプトなどの理解を促します。特に接客・営業を担当する従業員は、直接的に企業をアピールする人材です。外部に対してリブランディング後の姿を企業の意図と同じように語ってもらえるよう、詳細を伝えましょう。
社外へは、すでに愛好している顧客や取引先から順に告知します。タイミングを見てプレスリリースなど行い、広く周知することがポイントです。
新しいブランドについて伝えたい相手によって、最適な発信方法は変わります。想像力を膨らませ、周知する方法やメディアも工夫するとよいでしょう。
4. 戦略的にリブランディングを行うためのポイント
リブランディングは、戦略を間違えるとブランドの再構築や再生の効果が得られません。リブランディングが市場の的を射ていない内容になっていたり、取り組んでいく中で方向性がずれたりすると、かえって逆効果です。
以下では、リブランディングの失敗を防ぐために、戦略的に進めるためのポイントを5つ紹介します。
4-1. 今後顧客となり得る方の声を指標に方向性を決める
リブランディングを実施する際は、今後顧客となり得る方の声に耳を傾けましょう。今後顧客となり得る方の声には、新たなブランドイメージのヒントが隠されています。リブランディング後のイメージと今後顧客となり得る方の理想が異なると、顧客離れの原因となりかねません。
意見を聞ける機会がなければ、座談会などをセッティングしてもよいでしょう。実際の声をベースに、リブランディング後の理想像が今後顧客となり得る方が求めているものと相違がないか吟味してください。
4-2. リブランディングの本質を捉え外れた選択をしない
リブランディングは大きな変化をもたらすため、本質を見失わず企業の強みやビジョンに基づいた選択が必要です。
具体的には、「なぜリブランディングを行うのか」「リブランディング後の理想像は何か」をリブランディングに関わっている人と常に共有します。リブランディングの途中で根幹がずれると、それぞれが別方向に進んでしまい、リブランディング効果を損なう可能性があります。
4-3. 社内の風通しを確認・改善する
リブランディングの成功には、社内の風通しを良くすることも大事です。
リブランディングをしたいと思っていても、会社の役員などから同意が得られなければ企画が白紙に戻ります。もしリブランディングが実現したとしても、社員の一部しか同意・理解していなければ社員の行動に差が生じます。
社員は企業のブランドイメージをつくる上で重要な存在です。社内のコミュニケーションや情報共有を大切にし、社員にリブランディングの協力をしてもらえる環境をつくりましょう。
4-4. リブランディングの工程は書面で残す
リブランディングを行う際は、工程を書面で残しておきましょう。リブランディングに関わる人数が多くなるほど、目的の認識違いや聞き違いなどが起こりやすくなります。
工程を書面に残すことで、個人でもリブランディングの詳細を確認でき、迅速に業務を行えます。責任者も明確になり、全体の業務効率化にもつながります。社内での情報共有を容易にするためにも、リブランディングの詳細は書面にしておきましょう。
4-5. リブランディングを世に出すまでの工程を社内に浸透させる
リブランディングの成果を世に出す前に、まず社内でリブランディングの工程を浸透させましょう。リブランディングを世に出すまでの工程を社員に共有することで、会社が実施しようとしている内容を伝えることができ、社員のリブランディングに対する意識も高まります。
社員がリブランディングを意識できれば社内での好循環が生まれ、より効果的にブランディングの成果を出せます。
5. リブランディングするならアイディーエイ
リブランディングは、競合が多くブランド認知が比較的低いと言われる中小企業こそ必要とされています。
「アイディーエイ」は1976年の創業以来、デザインと経営の関係に着目し、リブランディングに関わるパッケージやWebデザインの制作をはじめ、戦略の見える化や理念浸透の活動促進などのサービスを提供しております。
ブランディングなら、デザインマネジメントの視点で企業や商品・サービスのブランド成長をサポートする「アイディーエイ」にご相談ください。
まとめ
リブランディング(re branding)とは、企業や商品が培ったブランド資産を活用しつつ、新しい時代にも受け入れられるブランドへ再構築することです。ブランディングとは目的や実施のタイミングに違いがあります。商品・サービスの広告表現に古さを感じたり、他ブランドとコンセプトやユーザーが被ったりした際は、リブランディングを実施しましょう。
リブランディングは、「ブランドに対する評価や立場の調査・分析」→「ブランドの方向性や指針の戦略策定」→「各方面に新しいブランドの浸透」の順で進めます。今後顧客となり得る方の声を指標に方向性を決めることが、リブランディングを成功させるコツです。
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