ブランドステートメントとは?メリットや作成のポイントを解説!

ブランドステートメントとは、企業として目指すべきブランドの方向性や価値観などをまとめたキャッチコピーや企業理念のようなものです。ブランドステートメントの形式は企業ごとに特色があり、親しみやすい表現でまとめたものや、端的な文章でまとめたものなどさまざまあります。

当記事では、ブランドステートメントをつくるメリットやポイント、企業事例などを紹介します。ブランドステートメントを通して、自社が目指す方向性や価値観を伝えたい方は、ぜひ参考にしてください。

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1. ブランドステートメントとは?

ブランドステートメントとは、企業としての在り方や価値観、目指す方向性などをまとめたものです。企業から消費者に対する「○○のようなブランド価値を提供します」という約束の意味合いも持ちます。

フレンドリーな言葉で表現したもの、端的な文章で簡潔に表したものなど、企業によって形式や内容量はさまざまです。ユーザーに伝わるように分かりやすい形に落とし込んであり、ロゴマークと組み合わせることもあります。

ブランドステートメントは、社員にとってはビジネス上のアクションを起こす際の判断基準・指針ともなるものです。ステートメントを読めば企業理念やブランドコンセプトが把握できるため、指針とすることでブランドイメージにマッチした行動がとれるようになります。

ブランドステートメントは広告やWebサイトなど、マーケティング・営業活動の場で幅広く活用されます。

2. ブランドステートメントをつくるメリット

企業がブランドステートメントを決めるときは、事業関係者全員が内容に共感し、理解して実際の業務に反映できる内容にすることが大切です。社員が共感し行動しようと思う内容でなければ、行動指針にはなり得ないでしょう。顧客の心にも響かず、共感を得ることも困難です。

ブランドステートメントをつくることは、企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、主なメリットを2つ紹介します。

2-1. 細かな情報まで伝えられる

ブランドステートメントをつくるメリットの1つ目は、企業についてより細かな情報を顧客に伝えられることです。

ブランドステートメントは、ブランドスローガンとセットで語られることが一般的です。ブランドスローガンとは、端的な言葉で企業の理念や考えを表したキャッチコピーのようなもので、多くの場合短めのフレーズで表されます。ブランドの目指す方向性や価値観を分かりやすく伝えることが目的で、重視されるのはキャッチーさです。ただし、短さゆえに、伝えたい事柄を余すことなく表現することは容易ではありません。

ブランドステートメントとセットにすることで、スローガンで伝えたかった意図や細かなニュアンスを伝えられるようになります。顧客がブランドステートメントを読めば、ブランドのこだわりや思い、世界観をより理解できるようになるでしょう。ブランド戦略として非常に有効です。

2-2. 社内の意思疎通がスムーズになる

メリットの2つ目は、社員間で意思の疎通がしやすくなることです。

ブランドステートメントは、社員がブランドの価値に沿って行動する際の具体的な指針となるものです。ステートメントを読めば、ブランディングとしてとるべき方向が見えてきます。

ステートメントで示されている筋道がベースにあるため、組織の上層部と現場メンバー間や部門間、チーム間などでの意見の食い違いを防ぐことが可能です。意思疎通がスムーズにでき、不要な意見の衝突がなくなるため、パフォーマンスも向上します。作業効率がアップし、より成果を出しやすくなるでしょう。

3. ブランドステートメントの一例を紹介

ブランドステートメントは、企業の目指す方向性や在り方、価値観などを分かりやすく示したものです。とはいえ、具体的にどのようにつくればよいか、よく分からない方もいるでしょう。

そこで、つくる際の参考になるように、以下では大手企業のブランドステートメントの事例をいくつか紹介します。

【住友生命】あなたの未来を強くする

一日一日を安らかに生きること。
人が願うのはそのことです。愛する家族や、信頼する友人とともに、
めぐり来る日々を、すこやかに、あかるく生きる。ただ、そのことなのです。
でも、生きていればいろいろあります。
雨がふる日もあれば、風が吹く日もあります。
そんな時、人を支えられるのは、やっぱり、あなたと同じ人間だと思うのです。
人が何を考え、何を求め、どうありたいと願うか。
その心を見つめる力を持つ、人間だと思うのです。そして、それこそが、
私たちの仕事にとって、もっとも大切なことであり、それを磨くことが、
私たちの仕事の品質を高めるただひとつの道である。そう信じるのです。
安心は、もっと、もっと前進できる。
何よりも、あなたの未来を強くしたいと願う、私たち住友生命です。

引用:住友生命「ブランドステートメント」 引用日2023/09/19

住友生命のブランドステートメントは、柔らかく親しみやすい口調で企業として大切にしていることや、経営上大事にしている価値観を語り、ブランドスローガンで締めている点が特徴です。心安らかな毎日を送っていた人が辛いことや困ったことに陥ったとき、住友生命が助けになることが伝わります。

【富士フイルム】Value from Innovation

2014年1月20日、創立80周年の節目を新たなスタートとして、富士フイルムはコーポレートスローガン「Value from Innovation」を制定しました。「Value from Innovation」は、当社が社会に価値ある革新的な「技術」「製品」「サービス」を生み出し続け、お客さまの 明日のビジネスや生活の可能性を拡げるチカラになるというお客さまへの約束であるとともに、われわれ自身が社内外の知恵や技術を広く集め、イノベーションを起こしていくという宣言でもあります。

引用:富士フイルム「Value from Innovation」 引用日2023/09/19

ステートメントで、スローガンの意味を「革新的な技術や製品を継続的に生み出して顧客の力になること・イノベーションを起こしていくことである」と説明しています。写真のフイルムで培ってきた技術を活用し、ヘルスケアや高機能材料など他領域へも果敢に挑戦し続ける富士フイルムらしさ、企業姿勢が表われたステートメントです。

【セブン‐イレブン】近くて便利

セブン‐イレブンが掲げる「近くて便利」、その「近い」はいつでも気軽に頼りにされるこころの近さ。
「便利」とは欲しかったモノが期待以上の品質でお客様の手に届くこと。
日本の暮らしにとけ込んで、新しいおいしさ、うれしさを次々提供していく…
そう!私たちは
近くて便利、セブン‐イレブンです。

引用:セブン‐イレブン「「近くて便利」なお店であるために。 引用日2023/09/19

コンビニエンスストアを利用する最大のメリットは、近くて便利なことです。セブン-イレブンは、ブランドステートメントにおいて、フレンドリーな言葉遣いで利用するメリットについてストレートに言及しています。シンプルで分かりやすく、それだけにユーザーの心に残りやすいステートメントです。

【LION】今日を愛する。

幸せは、名もない一日につまっています。
どんなさりげない一日にも、心を澄ませば
感じる幸せが、いっぱいつまっています。
小鳥の声でめざめる幸せ。洗いたてのシャツに
腕を通す幸せ。炊きたてのご飯を
噛みしめる幸せ。雲ひとつない青空を
仰ぎ見る幸せ。「行ってらっしゃい」と
家族に送り出される幸せ。誕生日や、
結婚記念日や、クリスマスも大切だけれど、
人生の大半を占める、そんなふつうの
一日一日がどれほど大切か。ライオンは、
そのことを誰よりも知っています。
なぜなら、そこにライオンがいるからです。
そこに、ライオンの仕事の場があるからです。
いつも人のそばにいて、めぐり来る
すべての一日の、人の清潔、人の健康、
人の快適、そして人の環境を守りつづけること。
それこそが、私たちライオンの変わることのない
使命であり、誇りでもある。そう考えています。
創業120年。
人のからだやくらしが求める、
希望に満ちた新しい未来を、日本ばかりでなく、
広く世界にも届けられることを大きな
よろこびとしたい、私たちライオンです。

引用:LION「コーポレートメッセージ」 引用日2023/09/19

何げない日の積み重ねの大切さを語り、自社商品によって日々を支え、健康や生活、快適な暮らしを守ることが使命であると述べています。LIONの商品を使った日々の暮らしが想起できる、メッセージ性の高いステートメントです。創業120年であることにもさりげなく触れており、歴史と実績によって信頼も得られる内容になっています。

4. ブランドステートメントをつくるポイント

ブランドステートメントは、社員が内容に共感でき、実際に行動に移せるものにする必要があります。また、ユーザーに響く内容であるべきです。

そのため、ブランドステートメントの考案にあたってはいくつか注意したいポイントがあります。ここでは、主なポイントを3つ解説します。

4-1. ユーザー像を明確に決める

まずは、どのようなユーザーを想定したブランドなのか、人物像を明確にすることが大切です。ユーザー像が不明瞭では、どのような人物にでも当てはまるようなブランディングしかできません。結果的に広く浅いものとなってしまい、ブランドの認知度を上げることは難しいでしょう。

先にユーザー像を明確にすることで、どのようなブランディングをするべきかも明瞭になり、ブランドステートメントにも反映させられます。

具体的にユーザー像を設定する方法にはSTP分析やペルソナの設定などがあり、状況に応じて有効な方法を選ぶことが大切です。

4-2. ビジョン・ミッションを明確にする

ブランドステートメントの作成にあたっては、企業のビジョンとミッションを明確にすることも欠かせません。両者は混同されがちですが、意味するところは異なります。

それぞれの用語を簡単に説明すると、下記のようになります。

ミッション
企業が果たすべき役割・使命のことで、ミッションがあるからこそ企業に存在意義が生まれる

ビジョン
将来的に実現すべく目指している企業としての姿・在り方を指す

ミッションもビジョンも企業の方向性を決める非常に大事な要素です。両者が明確でなければ、ブランドステートメントの内容も曖昧なものになるでしょう。

4-3. ユーザー目線を意識する

ブランドステートメントの作成にあたっては、ユーザー目線を意識することも欠かせません。「ユーザー目線を意識する」とは、ユーザーが自社の製品やサービスに求めているもの、魅力を感じるものは何かを考えることです。ユーザーに継続して自社製品やサービスを利用してもらうため、企業・ブランドとしてどうあるべきかを考えるのに欠かせない視点です。

求めていない内容をブランドステートメントとしてまとめて発表しても、ユーザーの心には響かないでしょう。ユーザーの視点を意識することで、企業の立場に偏った独りよがりな内容になることを防げます。社員も共感しやすく、現場で実践しやすくなるでしょう。

まとめ

ブランドステートメントとは、企業としての在り方や目指す方向性などを明文化した企業理念のようなものです。ブランドステートメントをつくることで、企業についてより細かな情報を顧客に伝えることができ、社員間で意思の疎通がしやすくなるメリットもあります。

ブランドステートメントは企業ごとに特色があり、自社が大切にしているブランドの方向性やブランドの魅力について触れています。顧客の心を引き付けるブランドステートメントをつくるには、ユーザー像やビジョン・ミッションを明確にすることが大切です。

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