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ブランド体験の目的とブランディングに生かせる成功事例4選
2024年01月23日
消費者の中には単に製品の機能や価格だけでなく、その背後にあるブランドの物語や価値観、そのブランドが提供する総体的な経験を重視する人もいます。また、今日の市場は製品やサービスの選択肢が非常に豊富で、消費者にとって同じニーズを満たす代替品が多数存在します。
このような環境下では、製品自体の差別化だけではなく、ブランド体験を通じた感情的なつながりや独自性が、消費者の選択を引き寄せる1つの要因となるでしょう。
当記事では、ブランド体験とはそもそも何かといった部分から、ブランド体験が重要な理由について解説します。
1. ブランド体験とはユーザーに世界観を体験してもらうこと
ブランド体験とは、消費者が特定のブランドとの接触点ごとに感じる印象や感情、認識のことです。
広告やプロモーション、商品やサービスの使用、カスタマーサービスとのやり取り、店舗やウェブサイトの訪問など、ブランドとのあらゆる接点が含まれます。良好なブランド体験は消費者の満足度を高め、再購入や周りの人に対する推薦の意欲を促進します。反対に、負のブランド体験はブランドへの信頼や評価を低下させる恐れがあるでしょう。なお、ブランド体験は「ブランドエクスペリエンス」とも呼ばれます。英語の”Brand Experience”の直訳であり、基本的な意味や概念は「ブランド体験」と変わりません。
また、ブランド体験は「そのブランドの世界観・価値観を顧客が感じてもらうこと」といった文脈でも使われる言葉です。
2. ブランド体験に取り組む目的
ブランド体験のポイントは、商品やサービスの機能性だけでなく、その背後にあるブランドのストーリーや価値観、文化など、より深い部分も含めて設計することです。消費者と強い関係を築くために、さまざまな接点で一貫性のある体験を提供する必要があります。
ここでは、ブランド体験の重要性・目的を解説します。
2-1. ブランドイメージを正しく伝えるため
ブランドイメージとは、消費者がそのブランドに対して持つ心の中の印象や認識のことです。ブランドイメージは、単に商品やサービスの品質だけでなく、マーケティング活動、接客の質、店舗デザインなどの多岐にわたる要素によって形成されます。
例えば、高級ブランドは豪華で上質な店舗デザインや、きめ細かい顧客サポート、質の高い製品を通じて、その高級感や独自性を消費者に伝えることが求められます。一方で、エコフレンドリーなブランドは、サステナビリティを重視した商品展開や環境に優しいマーケティング戦略を通じて、そのブランドの持続可能な価値観を伝える必要があるでしょう。
どの接点においても、消費者に一貫したブランド体験を提供することで、ブランドの認知度や評価が向上します。そのため、ブランドイメージを正しく伝え、強化するためのブランド体験の提供は、企業にとって重要な戦略となります。
2-2. 顧客ロイヤルティを向上させるため
顧客ロイヤルティとは、消費者があるブランドや製品、サービスに対して持つ継続的な好意や信頼の度合いを指します。具体的には、そのブランドや製品をほかの選択肢に移行することなく繰り返し選び、長期的な関係を築く意向のことです。
顧客ロイヤルティが高まることによるメリットは多岐にわたります。まず、ロイヤルな顧客はリピート購入を繰り返してくれることから、売上に大きく貢献するでしょう。また、ある意味でブランドのアンバサダー的役割も果たしてくれるケースもあり、口コミやSNSを通じてブランドの魅力を周りの人に広めてくれることもあります。宣伝や広告に投じるコストを減少させるだけでなく、ほかの消費者に対して信頼性のある情報伝達手段となるため、新規顧客の獲得にも寄与します。
2-3. 多様化するメディアに対応するため
かつてはマスメディアが主流の時代でしたが、今やソーシャルメディアやインターネットが消費者の情報取得や意見共有の主要な手段として台頭しています。
特にInstagramやXなどのソーシャルメディアは、消費者同士が情報を共有し、評価や意見を瞬時に広めるプラットフォームとして機能しています。そのため、ブランドが提供する体験が良好であれば、そのブランド体験はすぐに拡散され、新しいファンや顧客を獲得するチャンスとなります。反対に、悪い体験や不満があれば、その情報もまた迅速に広がり、ブランドの評価を下げるリスクとなるでしょう。
また今日の消費者は、購入する前にオンラインでのレビューや意見を参考にする傾向が強いです。そのため、ブランドはオンライン上での評判・口コミを意識しながら、ブランド体験の向上に取り組むことが求められます。
3. ブランディングに生かせるブランド体験の成功事例4選
現在は、ブランドが提供する情報やストーリーも、ソーシャルメディアやインターネットを通じてより多くの人々に届く時代です。以下では、自社ならではのブランド体験を設計し、実際に成功している事例を4つ紹介します。
3-1. 無印良品
良品計画は、銀座に「MUJI HOTEL GINZA」というホテルを持っており、無印良品ならではの世界観を体感できる施設となっています。客室の家具やアメニティ、電化製品などが無印良品の商品となっており、実際に使用してみて気になったものがあれば、「無印良品 銀座」ですぐに購入が可能です。
無印良品のお店に行けば製品は見れますが、「MUJI HOTEL GINZA」に泊まることで無印良品の製品に囲まれた暮らしを実際に体感できる、まさにブランド体験の良い例でしょう。
3-2. L’OCCITANE
L’OCCITANE(ロクシタン)では、店舗での接客を通じたブランド体験を重要視しています。L’OCCITANEのスタッフ一人ひとりがブランドを体現できるような存在となれるよう、その施策の一環として、接客コンテストを実施しています。
接客コンテストによって、接客スキルの向上はもちろん、スタッフのモチベーション向上にもつながっており、結果的に消費者のブランド体験の質も上がっている事例です。
3-3. スターバックス
スターバックス元最高経営責任者、ハワード・シュルツ氏の「スターバックスが売っているものはコーヒーではなく、体験である」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
スターバックスは、「third place(第3の場所)」というコンセプトを体現するために、店舗内装・BGM・照明・室温・椅子やテーブル、商品の質、スタッフの接客…など、すべての要素にこだわっています。スターバックスというブランド体験ができる店舗づくりが徹底されており、強いブランドが築けられている事例と言えます。
3-4. LEXUS
自動車メーカーのLEXUS(レクサス)は、「INTERSECT BY LEXUS」という、LEXUSが提案するライフスタイルを体験できる施設を運営しています。
食(レストラン・カフェ)やデザイン・アート・ファッション・カルチャーなどを通じて、LEXUSならではの新しい顧客体験を創造しています。LEXUSの自動車が好きな人はLEXUSに対してより愛着を持てるような場所であり、これまでLEXUSと関わりがなかった方・自動車にそこまで興味がなかった層に対しても、自動車という製品を介さずにLEXUSの価値観を届けられている事例です。
まとめ
ブランド体験は、消費者がニーズを感じてから、認知・興味・関心・購入までの一連の流れの中で、どのタイミングでも発生します。具体的には、広告や各種イベント、店舗、カスタマーサポートなど、どの接点もブランド体験に関係します。
消費者は良いブランド体験ができると、会話や口コミ、SNSなどで周りの人に共有する人が多いです。そのため、次第にブランドの認知度や評価が高まります。つまり良好なブランド体験は、将来的に宣伝や広告にかかるコストを削減し、効果的な宣伝活動を実現する可能性も秘めています。